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「きみの声をとどけたい」を見てきました "ネタバレあり"

毎年春と秋になると、徳島県徳島市で催されるマチアソビ、という町を上げてのサブカルイベントがあります。何年か前からそれに遊びに行っているのですが、前回の春の部に参加した時、「きみの声をとどけたい」というアニメ映画が上映予定であることを知りました。

そしてその映画、先週末金曜日に公開というニュースがあったので、友人と早速見てきました。公式サイトは下記です。

映画『きみの声をとどけたい』公式サイト

この映画はオリジナル脚本で原作がありません。絵柄はその作品の性質や空気感を表すとすれば、なんともふわっとした感じで、平和な話なんだろうなというのが第一印象でした。

 さて、岡山の外れにあるそこそこ大きな映画館へ、19:50からの上映の部に行ったわけですが観客は僕ら含めて10人。公開2日目にこれは、ちょっと少なすぎやしないだろうか…?

「大丈夫だろうか…?もしかしてデキが酷いとか、微妙な感じだったりするのだろうか…そういえばあまり話題も聞かないような…?」という不安を若干感じつつも、まぁそれはそれで、と覚悟を決めると映画は始まりました。

 いや、実際映画が始まるとそんな不安はどこへやら。何でこんなに人すくないんだろう?と不思議に思うほとで「普通に」面白い映画でした。

 

以下思った点のまとめです。

 

骨の太い二本立てのストーリー

これに関しては素晴らしいと思いました。最初から最後まで、話の中心となるものがブれずに一環していて、何を伝えたいのかが明確でした。起承転結もはっきり描かれており、「あぁ、骨が太いな」と感じるところでした。

あらすじは、

偶然、放送機材のある喫茶店に迷い込んだ主人公(なぎさ)、そこはある少女(紫音)の母親が昔放送していた、地域型ミニラジオのスタジオ。

なぎさは、紫音の母親が事故で植物人間状態となっていることを知る。そして目を覚ますようにとの願いをのせ、女子高生メンバーによるラジオ番組を復活させる。

回を追うにつれラジオ番組は地域の人を、心を繋ぎ、いつしか女子高生たちの抱える悩みをも解決していく。

…そして最後に、起こる、奇跡。

といったところでしょうか。

この映画のテーマとなっているものは「紫音サイド、母親が目を覚ますことを願ってラジオ放送を行う」で最初の目的はそれですが、もうひとつ話が進むにつれ「主人公サイド、対立関係にあった幼馴染との関係氷解」も進んでいきます。

つまり言ってしまえば、テーマが2つ同時進行で当てられているわけですね。それでいてばたばたしたり、違和感を感じることもない、素直に展開していく気持ちのいいストーリーでした。

誰かのために頑張っていたら、いつの間にか自分たちもハッピーになっていた。

…実に美しい話じゃあないですか。このあたりは王道展開と言ってしまえばその通りで、正直先の読める展開ではあるのですが、素直に心地良かったです。

 

魅力的なキャラクターたち

 またキャラクターが愛らしくていいですね。十人十色を地で行くような、様々な性質を持ったキャラクター。それがステレオタイプ級にデザインや表情にも現われていましたね(笑)。

 

背景が美しいが故に浮くキャラクター

「君の名は」を見に行った時も思いましたが、劇場アニメの映画って例外なく背景が美しいですね。3Dでデザインされた車や電車にも違和感はナシ。湘南の町が舞台となっていましたが、どうやら再現度はかなり高かったようです(友人談)。

ただ本作のキャラクターは、淡い絵柄というか厚い感じのものではないので、とことん写実的でリアルな背景に重ねられると、妙に浮いた感じに見えました。キャラクターと背景が馴染んでいません。個人的に、このあたりの違和感は終盤までずっと残ったままでした。

 

アフターストーリーはなくても良かったのでは

作中、主人公は将来のビジョンが見えていない中、友人が明確な目標を持って夢に立ち向かおうとしている姿に衝撃を受けるように描かれたシーンがありました。学生時代あるあるだと思います。

これを補足した感じなのでしょうか。最後に、今回の件でラジオのパーソナリティーを勤め働いている、成長した主人公がちょこっと出てきます。

一気に時代転換が行われ、何かこれまでの展開と繋りに疑問を感じますし、あのまま学生時代編をハッピーエンドのまま終わっていた方が、締まった構成になってはいなかっただろうか、と。若干蛇足に感じるところでした。

描くなら描くで、ちょこっとでも主要キャラ全員のアフターストーリーを描いた方が良かったんじゃないかなぁと思います。

その点「君の名は」のアフターストーリーは、見せ方が上手かったですね。

 

 エンディング曲が良い

こちらエンディングテーマ曲。

何か耳に残るという、もちろん曲自体いいですが、雰囲気が実に作品とマッチしていると思いました。スタッフロールで流れた時、それまでのシーンなんかが次々に思い起こされましたね。

www.youtube.com

 

何で話題になっていないのか不思議な作品

ということで、普通に王道で安心して見れる、面白い映画だったというのが感想です。「見る映画がない、何を見よう?」と思い悩み、困っているような人がいたら(そんな人いるのか)、とりあえずお勧めして問題ないでしょう。

何で話題になっていないのか、観客数があれほど少なかったのかが不思議です。それとも口コミで噂は広まると言いますし、これから流行っていくんでしょうかね。